「KINOローグ」は3人組のグループで、「わたしの視点」、「他者の視点」、そして「誰かの視点」を組み合わせて映像作品をつくる全4日間のワークショップ。今回は一般公募ではなく、過去にKINOのワークショップに参加し“シネマポートレイト”というワークを経験したことのある人を対象に募集を行い、この初日、海外に(も)ルーツをもつメンバー13名が集結しました。（運営スタッフ：鄭禹晨）

DAY1の最初は、事前の宿題に対してメンバーたちが提出した映像をもとに自己紹介を行いました。宿題のテーマは日常の「酸っぱい、甘い、苦い、辛い」を撮影することです。
金曜の仕事が終わり、輝く夕陽を見るのは「甘い」。夏祭りが終わって片付けをしている場面は「酸っぱい」。品川駅でスーツ姿のサラリーマンたちが同じ方向に向かって進むのはほんの少し「苦い」⋯⋯それぞれが生活で味わったことが映像に記録されていました。また、それらの映像を見直すことで異なる味わいを感じることもありました。
そして次のプログラムでは、「写真」と「映像」の違いについて考えながら人物や風景のシーンを撮影する練習を行いました。
カメラワーク、音、時間の経過でまわりの環境を伝えることや、映された人物の心情を想像させることができることなど、それぞれのグループが撮影した映像を観て、話し合いました。
最後に、DAY2までに提出する課題を発表しました。課題のテーマは 「モノローグ：わたしの視点で記録する」。各グループ内である1日を定め、メンバー全員はその同じ日にそれぞれ自分の日常を撮影することに挑戦します。メンバーたちがどんな映像を撮るのか、とても楽しみです！

ちなみに今回のメンバーたちから、それぞれの「夏を感じる映画」を共有してもらいました。こちらで紹介します！＊＊＊
アフターサン／藍色夏恋／パピヨンの贈りもの／（500）日のサマー／台風クラブ／君の名前で僕を呼んで／浮草／歩いても歩いても／サマーウォーズ／ハッシュ！／フィッシュストーリー／人間の証明／リトル・ミス・サンシャイン／時をかける少女／ミッドサマー

DAY2のお題は「モノローグ：わたしの視点で記録する」。各グループは定めた日にそれぞれ自分の日常を撮影したものを共有しました。
1日が礼拝や家事から始まる人がいて、オンラインミーティングの一本締めで朝を迎える人もいます。また、スーパーで野菜や果物を選んでいるところ、中古品屋さんでビデオゲームを選んでいるところ、歩道橋で美しい夕焼けを見て立ち止まるところなど、メンバーたちの視点に従って、様々な異なる生活の側面を見ることができました。
そして、各チームは共通のテーマや違いをディスカションしながら、それぞれが撮影した素材をひとつの映像に編集してみました。通常、映像編集は個人の作業になりますが、DAY2までは、4つのチームが熱心に日常生活のカケラを共有し、その後協力して最適な編集を議論している様子が感じられました。素材を時間順で並べると、同じ日、さらに同じ時間帯でお互いがどこで何しているかがわかって、なぜか不思議な気持ちがします。各チームはキーワードを書きながら、「日課」「移動」「主観／客観」「光の変化」などの共通点を見つけ出しました。
DAY3までの1ヶ月間、チーム同士は「他者の視点」でお互いの生活を映像と文字で記録します。

DAY3に設定されたテーマは「トリローグ:誰かの視点で記録する」です。
この日、メンバーたちはスタジオに集まりました。前半は、過去1か月間で、お互いが撮った映像と取材日の出来事を共有しました。後半は、チームのディスカッションした様子を撮影しました。
ディスカッションは、3つのパートに分かれています。第1部分は、壁にそれぞれのメンバーが取材で撮った映像を投影して、取材日の文字記録を映像と合わせして読み上げました。第2部分は、チームメンバーが映像を見て、朗読を聞いたあとに、率直な感想や気づきを話し合いました。最後の第3部分は、画家ポール・ゴーギャンによる絵画作品《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》のタイトルを問いとして議論しました。
今回、自分が出演していないときには、ディレクターや撮影などの役割もメンバーが担当しました。メンバーたちの力を合わせて、4つのグループによる4回の撮影を完成させました。
そして、最終宿題は各チームはDAY1から本日までの映像を1本の映像作品を作ります。異なる視点の素材、果たしてどのような作品になるのでしょうか？次回DAY4は作品上映会に迎えます。